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【その他】オルゴール(鑑定士 乳原)
2015/02/04
鑑定士の乳原(チチハラ)です。
先日、東京ではようやく雪らしい雪が降りました。
今年は雪が降らないな、と思っていた矢先のことでしたが、「やっぱり雪が降らないと冬らしくないな……」などと思ってしまうのは、もともと雪の少ない平野部に暮らしているからこそなんでしょうね。
さて、「鑑定」という言葉を聞くと、宝石など派手な貴金属類などなどを連想する人も多いと思いますが、今回ご紹介するのは「オルゴール」です。
もちろん、ただのオルゴールではありません。
外観は鳥かごの形をしており、かごの中には二羽の小鳥がたたずんでいます。
その名も「シンギングバード」。
ネジを回すと、かごの中の小鳥がさえずるんですね!
お品物は、栃木県のお客様より、REUGE MUSICのリュージュ シンギングバード アンチークケージタイプ オルゴールです。
シンギングバードの歴史は古く、初めて製作されたのは、18世紀後半のスイスです。
その魅力は当時から国境を越えて、世界各国の君主たちを夢中にさせました。
フランス第二帝政を敷いたナポレオン三世も、武勲のあった将軍に勇気と名誉の証としてシンギングバードを与えていたそうです。
小鳥の羽は、すべて本物の鳥のものを用いて作られているとのこと。
オルゴールが大好きだったお客様は、30年前に退職された際、自分へのご褒美に少し豪華なものを買おうと立ち寄ったオルゴールのお店で、今回のお品物と出会いました。
一目見て、かごの中の小鳥に心を奪われました。
18世紀の君主たちと同じように……。
以来、ネジを巻いては、本当に生きているかのような小鳥たちと癒しの時間を楽しんでいたそうです。
時が経ち、大きくなった娘さんに大事なオルゴールを譲ろうと話をしたところ、笑いながら「いらないわよ~」と言われてしまいました・・・。
お客様としても、思うところはいろいろあったのでしょうが、思い出のシンギングバードを手放し、温泉に行くための資金にすることに決めました。
査定のため、ネジを回したところ、オルゴールの音色も、小鳥の動きも素晴らしいものでした。
ケースや保証書、当時のパンフレットなどもそろっており、査定結果としては、お客様が希望として考えていた金額に達する数字をお伝えしました。
最後にもう一度、シンギングバードのさえずりを聞こうとネジを回したところ、さっきまで元気だった音色は止まり、小鳥も動かなくなっていました。
私もお客様も、お互い何も言葉にしませんでしたが、最後に小鳥たちが、お客様に「ありがとう」を言っていたような気がしました。
皆様のお悩みも、是非、私たちFlawlessに聞かせてください!